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2007/12/28  

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   全てはこの一冊から始まった
マックスウェルの悪魔 都筑卓司著
「マックスウェルの悪魔 確率から物理学へ 都筑卓司著」

もうずいぶんと古い本になります。
昭和45年 第一刷発行、私の手元にあるものは、昭和56年第28刷発行となっています。

この本は現在でも売れ続けており、自然科学の啓蒙書としては未曾有のベストセラーでしょう。
今、読み返してみても、この本の内容は決して古びてはいません。
著者の都筑卓司先生は、難解な物理の概念をやさしく語る名人で、何冊もの名著を残しています。
残念なことに、すでに他界されたそうですが。

少年時代にこの本を読んで深く感銘を受けた私は、
    「いつかは自然の持つ神秘と謎を解き明かしたい」
と思うようになりました。


やがて私は、マックスウェルの悪魔のパズルを解くことに夢中になりました。
そしてある日、とうとう解き明かしたのです!

喜び勇んで周囲の知人に話したのですが、これが思いっきり不評でした。
それもそのはず、私は「ついに永久機関の作り方を発見した」と宣言したのですから。
これでは誰もまともに話を聞くわけがありません。

その当時に思い付いた内容は
  「理論編 第二章 1分子気体パズルに挑む
    の中に記されています。

それで、マックスウェルの悪魔のお話はいったんおしまいになって、何年もの間、忘れ去られていました。












忘却の彼方にあったマックスウェルの悪魔を再び呼び起こしたものは、2つありました。

1つは、ベネットの「悪魔は記憶を消去することができない」という解釈です。
(The Thermodynamics of Computation - a Review, Charles H. Bennett, 1981)
もっとも、私は80年代当時にこの論文を読んだわけではなく、ずっと後になってから知りました。

今にして思えば、この「後から知った」というタイミングが絶妙だったわけです。
というのは、もし最初からこの論文にある内容を知っていたなら、「ああ、そうだったのか」とその場で納得して、それ以上考えることを止めていたでしょう。
ベネットの論文を見て、まっさきに湧き起こったのは「なんだ、これで良かったのか」という思いでした。
いまさら言い訳かもしれませんが、当時、私は既に「測定のプロセスには自由エネルギーを消費しない」ことを知っていました。
昔、私が考たことは間違いなかったのだという安堵感と、同時に、とっても悔しい気持ちが込み上げてきました。

    「どうしてもっと自信を持って発表しておかなかったのだろう」

    「もっと声を大にして、誰かに伝えておけばよかった」

そう思いました。

ベネットとコンピュータの熱力学に関するお話は
  「理論編 第三章 可逆コンピュータからの発想
    に記されています。

(※注意深い人はお気付きかもしれませんが、私の手元にある「マックスウェルの悪魔」が昭和56年、ベネットの論文が1981年で、同じ年です。 なので、仮に声を大にして発表したとしても、私が第1発見者にはなりません。当時知らなかったというのは、単に私の勉強不足です。)


もう1つは、「筋肉が熱揺らぎを利用している」という説です。

この説についても、はっきりと知ったのはずいぶん後になってから(2000年以降)でした。
しかも、熱揺らぎを利用しているという説は現状ではあくまでも仮説に過ぎず、決定的なメカニズムはまだ解明されていない、というではありませんか。

ここに至って、私は居ても立ってもいられなくなりました。
いますぐ手を挙げて、
    「私はその秘密を知っている」
と言いたい。

私は、再びマックスウェルの悪魔を呼び起こして、考えをまとめることにしました。

筋肉についてのお話は
  「理論編 第六章 やわらかい分子機械
    に記されています。


こうして、「甦るマックスウェルの悪魔」はスタートを切りました。
正に、私の中で甦ったわけです。

2003年くらいから、少しづつ勉強と執筆を開始しました。
理論編 第一章 なぜ永久機関は実現不可能なのか」は、昔、学生時代に書きためたものを再編集したものです。
(なので、第一章の内容は他の章に比べて一段と古くなっています。)
第二章、第三章、あたりまでは順調に進んだのですが、そのうちに、どうしても避けられない壁に突き当たりました。
それは他でもない、「熱力学第二法則との矛盾」です。

マックスウェルの悪魔とは、すなわち永久機関の別名であり、熱力学の法則とは全く相容れません。
当初から私は、「時刻が不確定であればエントロピーは減少しない」という考えを抱いていました。
しかし、考えれば考えるほど、本当にそうなのか、という疑念が離れませんでした。
最も頭を悩ませた問題は、
「マックスウェルの悪魔が実現すれば、必ずや温度差を作ることができる。しかしそれは、熱力学第二法則と矛盾する」
ということでした。

   マックスウェルの悪魔と熱力学第二法則は、絶対に相容れない存在なのだろうか。

私の考えは少しずつ「情報の流れ」に向けられるようになりました。
そしてたどり着いたのは、「不変の1bitと、円環のように巡るエネルギー」という構図です。
(何のことだか意味不明の言葉ですね。とりあえず「実験編 シミュレーション14」を見れば概要は想像できるかと思います。)

   マックスウェルの悪魔と熱力学第二法則には共存の道がある。

これが考えた末に至った、私なりの結論です。

エントロピーは決して減少しません。
マックスウェルの悪魔は第二種永久機関ではありません。
それでも、物理法則の制限の中で、熱揺らぎを利用する方法が存在するのです。

私が最も思い悩んだ苦闘の記録は
  「理論編 第五章 第二法則との調和
    に記されています。


こうして 2006年中には「理論編」がひととおり完成しました。
ここで、完成した原稿を見て、ふと我に返りました。

    果たして誰がこれを読むのだろうか。

できあがった原稿は、かなりの分量です。
よほどの暇人でもない限り、とても最後までは読まないでしょう。
また、どう見ても分かりにくい。
他人に受け容れらる内容であるとはとても思えません。

何よりも、私自身、不安がありました。
理論はどこまで考えていっても理論に過ぎません。

    どこかが間違っているのではないか。
    
    何か根本的な思い違いをしているのではないか。
    
    自分の頭は少々おかしいのではないか。

何か、自分の考え方を客観的に確かめるものが必要でした。


そこで、コンピューター上でのシミュレーションを行うことにしました。

本来であれば、実験によって確かめたいところです。
しかし、それには時間もお金もかかります。

シミュレーションであれば、目の前のパソコンですぐに実行できます。
2007年の1年間をシミュレーションに費やしました。

その結果をまとめたのが 「計算機実験編」 です。



こうして「甦るマックスウェルの悪魔」は完成しました。

2003年から数えて足かけ5年、最初の本から数えれば数十年になります。



ここまで読んでお分かりかと思うのですが、私はこの道の専門家ではありません。
ですので、専門家の目から見ればつまらない、初歩的な考え違いを犯している可能性があります。

また、世に認められている学術的な論文というものは、必ず複数の有識者による議論を経ています。
残念なことに、私の周囲には議論すべき友人や、アドバイスをもらえる専門家はいませんでした。
ただ1人の頭の中だけで生み出された考えは、大きく勘違いしている危険が常につきまといます。

そこで、事の正否をインターネットに委ねることにしました。

今、私が切に求めているのは、こういったことです。
    ・専門家の意見
    ・(前向きに)議論してくれる人
    ・いろんな人の意見、感想
この難解な長文に最後まで辛抱強く付き合い、親切にもアドバイスするような奇特な人が、果たしているのだろうか・・・
でも、世界は広いのですから、インターネットの善意に期待しましょう。

幸いなことに、このサイトに記したものが全て間違っていたとしても、私には何一つ失うものはありません。
    「ごめんなさい、間違えました」
で済むわけです。

反対に、もし正しかったとしたら・・・
つまり、たとえ1%でも可能性があれば、世に問う価値があるわけです。


2007年末の現時点で、サイトにはまだ手を加えたい部分が多々あります。
特に、図が不足しています。
今後暇を見て、少しずつ追加、修正しようと思っています。

もう少し時間に余裕があれば、さらに精緻なシミュレーションを行ってみたいです。
例えば、熱揺らぎで滑り出すタンパク質分子モデルとか。

もちろん、もっと時間とお金に余裕があれば、ぜひ本物のマックスウェルの悪魔を作ってみたいですね。



このサイトは、そのための第一歩なのです。


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