計算機実験
シミュレーション7:両端の振動子の先に連成振動子をつなげてみる
2007/12/20  

それでは、このような仕掛けを用いて2つの熱浴の間に温度差を作り出すことができるだろうか?

それを確かめるために、左右の端の壁の先に、一次元の連成振動子をつなげてみた。 一次元の連成振動子とは、複数の質点を直線的にバネでつないだものだ。 このシミュレーションでは、左右それぞれに50個の質点をつないでみた。 連成振動子の反対側の端は固定した。 もし左側にある連成振動子の有するエネルギーよりも、右側にある連成振動子のエネルギーの方が大きくなれば、温度差が作り出されたことになる。



結果はどうなったか。 予想に反して、左右の振動子で有意なエネルギーの差異は認められなかった。 また、正負の転送回数についても有意な差は認められなかった。

この結果は、先のシミュレーション4〜6の結果と相反しているように見える。 両端が固定されているという状況からすれば、むしろシミュレーション3の挙動に近い。 少なくともこれで、無条件に温度差が生み出されるわけではないことが明らかになった。 やはり「マックスウェルの悪魔」は非現実的な幻なのだろうか・・・


   結果のグラフ

シミュレーションは、転送回数3000回まで実施した。
(前のシミュレーション6までの転送回数は1000回)

各グラフ名にある -20〜+30 の数字は、ワープゾーンの相対的な位置関係を示す数字である。
数字がプラスに大きくなるほど、ワープゾーンは中央付近に寄っており、偏りは小さい。 反対にマイナスになると、ワープゾーンは片側に寄り、偏りが大きくなっている。
もしシミュレーション4〜6までの考え方が妥当であれば、偏りが大きいほど正負の転送回数の差異も大きくなるだろう。 (ワープゾーンが左右対称であれば、正負の転送回数の差異はなくなるだろう。) こうした偏りに対する挙動を確認するため、ここではワープゾーンの位置を少しずつ変えてシミュレーションを実施してみた。

結果、正負の転送回数に有意な差異は認められなかった。
「連成振動子+30」の結果は正(+)の転送が多く起こっているようにも見えるが、偏りから考えれば、この+30は他よりも正(+)の転送が少なくなっていなければならないはずだ。 なので、この結果は単にランダムな振れに過ぎない。

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