計算機実験
シミュレーション8:連成振動子を丸くつないでみる
2007/12/20  

左右の連成振動子の端をつなげて、1つの輪にした。 ここでは101個の質点を輪にしてつないでみた。

結果は何とも興味深いものとなった。 まず、正負の転送回数に差異が認められる。 ただし、その差異はシミュレーション4〜6ほど明確ではない。 そして、転送回数の差異は、何らかの形でワープゾーンの位置に依存している。 興味深いのは、転送回数の差異が、ワープゾーンの位置に対して単調な比例関係にはなっていない点だ。 左側に置かれたワープゾーンの位置を少しずつ変えて転送の傾向を調べてみると、同じ左側でありながら、正の転送が優位になる場合と、負の転送が優位になる場合があった。 つまり、ワープゾーンの位置の変化に対して、正負の転送傾向が交互に現れる、ということになる。

この結果はどう解釈すればよいのだろうか。 1つのヒントは「線形な連成振動子はエルゴード的ではない」ということだろう。

「連成振動子を長時間に渡って観察すれば、エネルギーはまんべんなく行き渡るのだろうか?」

Fermi-Pasta-Uramの実験と呼ばれるシミュレーションが、この疑問に答えている。 それによると、線形振動子の場合、エネルギーは全ての状態をまんべんなく行き渡るのではなく、幾つかの状態を周期的に巡回するのである。
ここでのシミュレーション8の場合、輪にした線形な連成振動子は「左右の部屋を等温に」保ってはいない。 むしろ、ある周期的な規則でもって、左右の部屋に温度差を与えているのだ。 その温度差に応じて、転送の傾向は正が優位になったり、負が優位になったりするのではないだろうか。


   結果のグラフ

各グラフ名にある -20〜+30 の数字は、ワープゾーンの相対的な位置関係を示す数字。
前のシミュレーション7と同様。

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