装置の下に抜けた信号は、次に「隔壁の移動」を行います。
どのようにして信号が「隔壁の移動」を行うのでしょうか。
右の図をご覧下さい。丸が信号、四角が隔壁を表しています。
2つの物体の2回の衝突で、物体の移動、停止が実現できます。
(光子も運動量を持っています。)
薄い板の隙間を抜けた信号は、その直後に隔壁と衝突し、隔壁を手前側(X軸の小さい方)に移動します。
板の隙間を抜けた直後であれば、隔壁と分子の位置が特定できていることに注意してください。
隔壁の位置が特定できているので、移動することが可能なのです。
また、分子の位置についても手前側(X軸の小さい側)にあることが特定できているので、
移動後にも、分子が手前側(X軸の小さい側)にあることが保証されます。
(隔壁の移動に時間を要すると、分子がどこかにいってしまう可能性があります。
なので、信号の速度は分子よりも十分速く、また、隔壁の移動はできるだけ素早く行う必要があります。)
このようにして隔壁の位置を手前側(X軸の小さい側)に「巻き戻せば」、
熱運動する分子から再び仕事を取り出す準備が整ったことになります。
仕事を取り出し終えた後、隔壁は箱の奥の端(X軸の大きい側)に来ています。
これまで見てきた信号の仕組みによって、隔壁を再び手前側(X軸の小さい側)に戻せば、
分子と隔壁は仕事を取り出す以前の状態に戻ったことになるでしょう。
しかし、この段階では、まだ信号が完全に元の状態に戻ってはいません。
なので、もう少し信号の行き先を調べる必要があります。