3分で読み取る要約
2008/03/30
命題
温度Tの等温条件下において、
熱量Qを取り込み、 不確定要素Sをともなう仕事Wを出力する系が存在したとしても、 次の要請と矛盾しない。
要請
熱力学第一法則
ΔU = ΔQ - ΔW ・・・(1)
熱力学第二法則
ΔS >= 0 ・・・(2)
ケルビンの原理
Wcyc <= 0 ・・・(3)
シャノンの定理
C = B log[2]( 1 + Signal / Noise ) ・・・(4)
前提
熱エントロピー = 情報エントロピー仮説
S = - k I ・・・(5)
導出 (命題が要請を満たすことの確認)
(4) において、Noise を白色熱雑音と見なし、B kT と置く。
C = lim[B->∞] { B log[2]( 1 + Signal / B kT ) }
ここで x = kT B / Signal と置いて、lim[B→∞] の代わりに lim[x→∞] を考えれば
上式
= ( Signal / kT ) lim[x→∞]{ x log[2] (1 + 1/x) } = ( Signal / kT ) log[2] ( lim[x→∞] (1 + 1/x) ^ x ) = ( Signal / kT ) log[2] ( e ) ※自然対数 e の定義 単位時間あたり 1 bit の情報量を送るための Signal強度は
Signal = kT / log[2] ( e ) = kT ln 2 ※ln は自然対数 ln[e]のこと
単位時間あたり I の情報量を送るための Signal[I] の強度は、情報量の定義を考慮して(情報量とは状態数の対数)
Signal[I] = kT・I
いま、ある系が単位時間あたり I の情報量を、Signal[I] によって出力していたとする。
Signal[I] = ΔW ・・・(a)
また、Signal[I] は I だけの情報量を系から出力しているので、この情報量を (5) に従ってエントロピーと見なせば、
Signal[I] = kT・I = - T S ・・・(b)
だけのエントロピーを系の外に運ぶことができる。
このSignal[I]を発する系が、同時に外部から熱量Qを取得していたとしよう。
ΔU=0、ΔW=ΔQ
となる必要がある。つまり、系が外部から取得する熱量と、外部に出力する信号強度は等しくなければならない。
このとき、系が熱力学第二法則(2)を満たすことを確認しよう。
ΔSin = ΔQ / T
系が信号と共に運び出せるエントロピーは、(b) より
ΔSout = - Signal[I] / T
さらに(a)より
上式
= - ΔW / T
ΔSin + ΔSout = 0 なので、熱力学第二法則(2)の等号の場合を満たす。(等号の場合ということは、理想的な極限においてのみ成立するということだ)
さらに、この系がケルビンの原理(3)を満たす条件を確認しよう。 |