Is Dead?
悪魔はもう死んでいる?
2008/04/14  
ブラウン運動の利用は、荒唐無稽なアイデアのか?

サイト制作者である私の言ではいまひとつ信憑性に欠くので、 もっと信頼のおけるページから引用しましょう。

  >> 日本物理学会 Jrセッション  今までに寄せられた質問・回答集 より

(質問)
筋肉の動き(アクチンとミオシン)がブラウン運動的であるということを先生から聞きましたが本当なのか。

(回答)
本当です。筋肉を分解してゆくと繊維状のアクチンフィラメントとその上を動くミオシンに行きつきます。
アクチンは、重合してアクチンフィラメントを形成し、ミオシンが移動するレールの役割をします。
ミオシンは大きさが数十nmのタンパク質酵素で、ATPをADPに加水分解する際に生じるエネルギーをアクチンフィラメントに沿った方向の運動に変換して力を発生し、外部の負荷に対して仕事をします。
ミオシンなどの分子モーターは小さく、周囲の水分子の熱運動で常に突き動かされています。
ミオシンはATPやADPの結合状態に応じてアクチンフィラメントにくっついたり離れたりを繰り返すと考えられていますが、特に離れた状態ではブラウン運動のゆらぎは大きくなります。
ATP一個を分解して得られるエネルギーは熱によるブラウン運動のエネルギーより少し大きい程度ですので、ミオシンは激しい熱ゆらぎの中でATPの化学エネルギーを一方向性の運動に変えていることになります。
一般にブラウン運動に方向性はないため、温度差がなければ熱ゆらぎから仕事を取り出すことは不可能であることは、熱力学の第二法則から示されます(マクスウェルの悪魔)。
したがって、このようなゆらぎの中で仕事をする分子モーターが何故、高効率なのかは物理学が解くべき謎の一つです。
最近では測定技術の進歩により、ミオシン1分子がブラウン運動をしながらアクチン上を動いていく様子が観測できるようになり、力や速度、効率などの物理的測定が可能になっており、日本の研究者が大きな貢献をしている分野です。

(佐野雅己)

   

付け加えますと、
 「温度差がなければ熱ゆらぎから仕事を取り出すことは不可能であることは、熱力学の第二法則から示されます」
というのが、物理学の常識です。

このサイトでは、
 「熱力学の第二法則を破らずに、熱ゆらぎから仕事を取り出すことができるのではないか」
という提案を行っています。
これは物理学の常識からすると、あまり普通ではありません。

ブラウン運動は、現在なお魅力的なテーマであり、
ブラウン運動を利用した分子モーターの研究もさかんに行われています。
ただし、その中で「ブラウン運動から直接仕事が取り出せる」と主張しているのは、
(おそらく)このサイトだけです。

  >> ブラウン運動
    回答者の佐野先生が執筆されたページ。デザインが美しい。

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