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時間が異なるという状況を、別の状態として数え上げてもよいのだろうか?
そもそも時間が異なる状況に、何か物理的な意味があるのかな?
もし、最大10秒待てば動く自動車があったなら、10秒待って、エネルギーを溜めてから走り出せばいいじゃないか。
そうすれば、いつになるかわからないといった不確定な要素はなくなる。
つまり、時間が異なるといった状況には、もともと深い意味は無いのではないか。
1秒後に取り出された仕事と、2秒後に取り出された仕事。
この2つをなんらかの方法で1つにそろえて、確実に3秒後に作用する仕事に変えることはできないのか。
ここでもう一度、Y字管の話を思い起こそう。
2通りの状態を1つにそろえるには、必ず摩擦熱の発生がともなう。
ということは、時間が異なる2通りの仕事を、エネルギーの損失なしに、1つにそろえることはできない。
実は、1つにそろえることによって失うエネルギーの大きさは、ちょうど熱運動から得られた仕事の大きさに等しくなる。
時間をずらすことによって得られた仕事は、時間をそろえることによって消えてしまうのだ。
取り得るパターン数と、得られる仕事の大きさの間には、1つの物理法則がある。
パターン数をW、温度をT、得られる仕事の大きさをEとすると、
E ∝ T ln W
となる。
得られる仕事Eは、温度Tに比例し、パターン数Wの対数に比例する。
パターン数Wが大きいほど、得られる仕事Eも大きい。
パターン数Wが1、つまり、いつ、どこに、どれだけ作用するか確実に分かっている場合には、仕事は全く得られない。
これが最初に掲げた
取り出される仕事に、不確定な要素が含まれている
というルールの内容だ。