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物理的に考えてみよう。
ある1つの原因は、1つの結果を生む。
もし原因が異なれば、結果はまた別のものになる。
これが因果律というものだ。
もし原因として考えられるパターンが2通りだったとしたら、結果としてあり得るパターンも2通りでなければならない。
原因が10通りだったなら、結果も10通りになる。
原因と結果のパターン数は必ず同じになる。
2通りの異なる原因から、1通りの同一の結果が得られることはあり得ない。
この因果律が、熱の話とどのように関係するのか。
ばらばらな熱運動というのは、考え得るパターン数が何十通りもある運動のことだ。
一方、向きのそろった運動というのは、パターン数がただ1通りの運動のことだ。
何十通りもある運動から、1通りだけの運動を作り出すことはできない。
だから、ばらばらの運動の向きを1つにそろえることは不可能なんだ。