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どうして時刻が不確定なら、熱運動を利用することができるのか?
そもそも、熱と、時刻と、不確定の間に、何の関係があるのだろう?
それを知るためには、まず「熱とは何か」について知っておく必要がある。
熱とは何か?
それは、向きや大きさがでたらめで、ばらばらな運動のことだ。
熱い物体をうんと大きくして見たならば、たくさんの分子がでたらめに運動していることがわかる。
このでたらめな運動が熱の正体だ。
それに対して、普通の物体の運動というのは、たくさんの分子がそろって同じ向きに動いている状態のことを指す。
つまり、熱と普通の運動の違いは、でたらめか、そろっているか、だけの違いなんだ。
もし、ばらばらになっている熱運動の向きを一方向にそろえることができれば、熱を直接仕事に変えることができる。
向きをそろえるだけで良いのなら、そんなに難しくないんじゃないかな。
思い当たるのは、自転車の後輪についているフリーホイール。
あれのうんと小さなものを使って、ばらばらな熱運動の中から一方向の回転が生み出せないだろうか。
ところが、話はそう簡単ではない。
うんと小さな、熱運動で動くようなフリーホイールだったなら、フリーホイール自身が熱運動で勝手にでたらめに動いてしまう。
それでは役に立たない。
フリーホイールが勝手に動ないように抑えておきたかったなら、熱運動を止めなければならない。
つまり、冷やさなければならない。
ということは、フリーホイールを動かすには温度差が必要で、普通のエンジンと何ら変わらないことになる。