規則性とは何か? ランダムとは何か? ある信号(エネルギー流)があったとき、それが直接的に利用可能か不可能かを分けるのは 「規則性があるか無いか」に依存する。 規則性のある信号は利用できる。全くランダムな信号は(直接的には)利用できない。 では、規則性とは何だろうか? 最も利用しやすい信号は、安定した直流だろう。 交流電流は、行ったり来たりするにも関わらず、直流とほぼ同様に利用できる。 その理由は、交流の行ったり来たりが規則的だからである。 交流電流のスペクトルを見れば、50 or 60Hzに偏っている。 直流と交流の2つから考えるに、次の2つは「規則的」だと言える。 1: 一方方向に流れる、積分した値が0にならないものは規則的。 2: スペクトル分解した結果が偏っているものは規則的。何らかの周期性を持っている。  反対に、スペクトルが一様に分布していることがランダムの条件である。 これだけだろうか? 例えば、 1行って、2戻り、3行って、4戻り、5行って、6戻り ... と続く列は、 上の2条件に当てはまらないが規則的である。 もっとひねくれた例、 例えば円周率の 3.1415... に合わせて行ったり来たり(例えば奇数は行き、偶数は帰りとか) などは、出方が分かっているのだから規則的とは言えないだろうか? コンピュータ的な発想をすれば、 3: 圧縮できるものは規則的 であると言える。 ここで問題なのは 「現在知られている圧縮方法(表現方法)が最短だということが示せるか?」 ということだ。 チャイティンが示したように、いかなる場合でも規則的かどうかを判断できるような アルゴリズムは存在しないのである。 ということは、どこにでも通用する一般的なランダムの定義は存在しない。 一見ランダムに見える数列も、ひょっとすと隠れた規則性があるかもしれない。 (与えられた数列が円周率のちょうどX桁以降の値と一致する、  ということにどうやって気付くのか?) こんなわけで、ある信号(与えら得た数列)に全く規則性が無いことを言い切るのは不可能なのだ。 我々ができることは、ある特定のケースに限って、信号に何らかの規則性を見いだすことだけだ。 「規則が無い」ことは断言できないが「規則がある」ことは断言できる。 現実の世界では、上の 1: 〜 3: の判断でとりあえずOKなのではないか。 ************** ところで、不確定モーターの出力は、 1: 一方方向に流れる、積分した値が0にならない ことになっている。 しかし、たとえ一方に流れたとしても E <= k T ln W の条件を満たせば「熱と同じくらいにランダム」ということになっている。 ・・・このランダムと規則の境目を定式化できないだろうか? **************