トランプによる多世界解釈 でたらめに混ぜたトランプから5枚のカードを抜き出したとき、 それがロイヤルストレートフラッシュである確率はどのくらいだろうか。 52枚のトランプから5枚だけ抜き出す方法は (52*51*50*49*48) / (5*4*3*2*1) = 2598960 通り。 ロイヤルストレートフラッシュにはスペード、ハート、クラブ、ダイヤの4通りがあるから、 求める確率は 4 / 2598960 = 1 / 649740 である。 仮に毎日100回ポーカーの勝負をしたとすると、ざっと18年に1回お目にかかれる勘定になる。 実際にはトランプの交換もあるので確率はもう少し上がるだろうが、 それにしても普通の人は一生かけてもお目にかかれそうにない。 そこで少々ずるをして、必ずロイヤルストレートフラッシュを拝める方法を考えよう。 ここにご紹介するインチキな方法とは、「超多面体の」トランプを用意する方法である。 トランプには普通2つの面があるが、意味があるのは数字記号の書かれた1面だけである。 ここで仮に、使われていない裏面に、表面とは異なるもう1組の、別のトランプを書いておく。 もちろんこんなトランプはそのままゲームに使うことはできないのだが、あくまでも話の上での仮定である。 この両面トランプのどちらか一面がそろう確率は、当然ながら1面だけのトランプの2倍である。 表の面で全くの「ぶた」だったとしても、ひょっとすると裏の面は見事にそろっているかもしれない。 表と裏の両方合わせれば、確率は少しだけ向上するわけだ。 ならばいっそのこと平面ではなく、サイコロのような立方体に描かれた6面のトランプを用意したらどうだろう。 確率は6倍にアップする。 正面から見ればバラバラであっても、右から見れば、あるいは下から見れば、 思いもよらぬ手がそろっているかもしれない。 ここまで来れば、話をもっと発展させてみたくなる。 2の6のと小さい数で満足せずに、最初から2598960面の立体の、 それぞれの面に異なったトランプを描いたものを用意しよう。 この「超多面体トランプ」を使えば、運の善し悪しに関わらず、必ずロイヤルストレートフラッシュが完成する。 超多面体トランプをどこかの角度から眺めれば、そこには最高の手がそろっているのである。 実際に2598960面の立体を作るのは大変なので、同じことを立体を作らずに行ってみよう。 トランプの札をどのように解釈するかは、強引な言い方をすれば読み手の解釈の問題である。 例えば「ハートはスペードということにする」とか、 「数字に1ずつ足したものを本当の数字とする。ただしKはAとする。」などといった 特別なルールを作っておけば、実際の手持ちの札とは異なった、もう1つの別のトランプができるわけだ。 こういった「トランプ変換のルール」を、単純なものから複雑なものまで、片っ端から全て用意しておく。 実際に手札を取り替えた後であっても、自分に最も都合の良いルールを選んで適用すれば、 必ずやロイヤルストレートフラッシュが当たることになる。 重要なのはトランプ変換のルール、52枚の全ての置換パターンであって、 手札の実体は何であっても構わないのである。 さて、ロイヤルストレートフラッシュは滅多に出ないものの代名詞だが、 世の中には、さらにずっと低い確率でしか実現しないものもある。 「空から隕石降ってきてちょうど頭の上に命中する確率」とか、 「ある日突然見ず知らずのかわいこちゃんがやってきて居候を決め込む確率」など、 いかにも低そうだ。 そういった数多くの例の中で、多くの人の興味を引き、それでいてよくわかっていないのは、 「ある惑星の上に知的生命体が発生する確率」ではないだろうか。 知的生命体が生まれる確率は、星の数ほどある惑星に比して十分高いという人もいるし、 限りなく0に近いという人もいる。 <ドレイクの方程式> カール・セーガンや、SETIを推進する人たちは比較的楽観的な数字を挙げている。 ウィキペディア - ドレイクの方程式 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%81%AE%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F <フェルミのパラドックス> 「フェルミは、もしこの銀河に多くの異星の文明が存在するならば、 宇宙船、探査機やラジオ波などの証拠が全く発見されないのはなぜなのかと問うた。」 ウィキペディア - フェルミのパラドックス http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%81%AE%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%89%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9 この地球という星の上に、生命が誕生し、こうして私達がいるということは、 どれほど控えめに評価しても、極めて確率の低い奇跡に近い事象であろう。 この宇宙は(一般的な視点から見て)3次元であることから始まって、 光速度、プランク定数、重力定数など、あまりにもバランス良く出来過ぎている。 なぜ宇宙はこれほどまでに、我々人間にとって都合良くできあがっているのか。 この疑問に答えるべく、編み出されたストーリーの1つが「人間原理」というもの。 「宇宙が現にあるような姿で見えるのは、もし宇宙が別の姿であったとすれば、 われわれが存在して宇宙を観測することはできないためである」とする考え方である。 一口に人間原理と言っても、解釈や適用にはかなりの幅がある。 その中で最も過激なものは、量子力学の多世界解釈と結びついて、 「宇宙はたくさんある」とするものだ。 実は、宇宙というものはたくさんある。 たくさんの宇宙の中で、たまたま知的生命体の生存に適していたのが、今我々の住んでいる宇宙なのだ。 他の大多数の宇宙は、おそらく知的生命体の生存には適さないが、それらは全く観測されることがない。 さて、このお話はどことなく先に挙げた「ロイヤルストレートフラッシュ」に似ていないだろうか。 今、我々の住んでいる宇宙とは、ちょうど上手い角度から眺めた「ロイヤルストレートフラッシュ」なのだ。 想像力をたくましくして、強引な話をでっちあげればこんな風になる。 そもそも宇宙とは、1つの巨大な時空多様体である。 その時空多様体には、いろんな角度からの、無数の切り口がある。 その無数の切り口の中から、最も都合の良いものを選び出せば、 ほとんど奇跡に近い、知的生命体の存在する現在の宇宙となる。 同じ多様体を別の切り口から見れば、(知的生命体から見て)全く意味を為さないでたらめな宇宙となる。 当然、秩序立ったコスモスとなる切り口よりも、 全くでたらめな切り口の方が圧倒的に多数となるであろう。 それでは、無数にある切り口の中から、現在我々の住む宇宙の切り口を選び出した主体は何であろうか。 それは、我々自身の「意識」に他ならない。 私自身の意識が、時間軸に対して現在認識している、この切り口で多様体を切ったからこそ、 宇宙はこのように見えているのだ。 さらに、私の意識が感じている時間の流れとは、幾重にも多層に並べた多様体の切断面を、 順番に巡り歩く様相のことだ。 つまり、宇宙も、時間も、意識が選び取って作り出しているのである。 もともとの多様体は、何ら特別なものを有してはいない。 だからこそ自由意思があり、我々は自らの意識の在り方によって未来を作り出すことができるのである。 ・・・う〜む、思い切りホラ話を吹いてしまった。 まじめなことを話せば、上のストーリーは立証も反証もできない。 つまり、科学ではない。 例えば、次の一説に反論できるだろうか。 「この宇宙は、今から3分前に神様が作ったものだ。あなたや私の記憶も含めて、巧妙に。」 上のストーリーもこれと同じことだ。 結局は壮大なヨタ話ってことになるかな。 とっぴん ぱらりの ぷぅ。