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ランダウアーの原理は本当に正しいのか?
2008/06/20  

本論では一貫して「ランダウアーの原理」が物理学上の真理であるような言い方をしてきたが、 現時点では、これは「原理」と呼んでもよいものか、かなり微妙な問題をはらんでいるようである。
というのも、「ランダウアーの原理」に必ずしも一致しないような結果も報告されているからだ。

正直言うと、「ランダウアーの原理」は教科書(主にファインマン計算機科学)に書かれている内容だったので、 私も特に疑うこともせず、そのまま正しいものとして受け入れた。
しかし、その後たまたま下の小論を見て、あれっと思った。

数理解析研究所講究録1350 巻2004 年135-140
   「計算発熱損失の最小値とその速度依存性」(PDF)

   「京都大学 数理解析研究所 講義録」 の中に含まれている。
「Landauer の陳述とここで示される結果とは相容れない」のである。
筆頭に名を連ねているのは、あの「パラメトロンの後藤」だ。(既に他界されたらしい)
吉田宣章という先生は、おそらく『量子情報理論 (物理学スーパーラーニングシリーズ) 』の著者であろう。

これも正直に言うと、私はここに書かれている内容の全てを理解できていない。
わからないまま現時点での感想を述べると、
1つには、ここで述べられている回路は速度が無限に遅い「準静的過程を定量化したもの」である。
「準静的過程」という、一見わかったようで良くわからない過程を扱っているので、問題は非常にデリケートになると思う。
(考えてみれば、この点はランダウアーも同じはず。)
あと、私のサイトでは「ランダウアーの原理」を全面的に正しいものとしているので、立場から言えば反対である。

しかし、科学というものは全てを疑ってかかるのだという態度からすれば、 「ランダウアーの原理」に一抹の疑問が投げかけられていることは覚えておくべきだろう。
そもそも「量子磁束パラメトロン」って、なんだかカッコイイぞ。

  成果報告: >> J-STORE(無発熱計算 吉田 宣章)

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