平衡状態から外れている系には・・・ 2種類ある。 1:まだ平衡に至っていない緩和過程。 2:壁で仕切られていて平衡に達しない系。 これまで非平衡として扱われてきたのは、主に1:の系。 2:の系はある意味当たり前すぎて、数式にも成りにくいので、着目されることはなかった。 2:で登場する「壁」というのは、1:で現れることがある「ポテンシャルの山」の高さが極めて高くなったものだから、 1:も2:も同じではないか、という意見もあろう。 ところが、1:の考え方と2:の考え方には、大きな違いがある。 1:で中心的な役割を果たすのは「エネルギーの流れ」であろう。 非平衡 => エネルギーの流れがある。 オンサガーの定理 => ある流れが別の流れに影響を与えるとか、そういった見方である。 これに対して2:で中心的な役割を果たすのは「スイッチ」である。 壁を入れたり出したりして、流れを通す、遮断する、といった操作が中心となる。 熱平衡に達した系についてスイッチをON、OFFしたところで何も起こりはしない、、、普通ならそう考える。 ここで、 (古典)力学的に動作するコントロール系 熱統計力学に従う対象系 を考え、この2つを組み合わせる。 2:の考え方において1つ看破したことは、コントロール系は、必ずしも対象系の熱揺らぎの影響を受けなくてもよい、ということ。 直接エネルギーをやりとりせず、スイッチのON,OFFだけであれば、コントロール系は熱揺らぎを離れて、理想的には全く古典力学的な挙動に従う。 そして、コントロール系が「壊れない限り」、つまり「壁を越えて」全パターンをあまねく巡るのではなく、 力学的に許された仕組みの上だけを動く限り、コントロール系x対象系の全体は、熱平衡に達しないまま、意図した特定の挙動を繰り返すことになる。 コントロール系の特定の挙動 = 壁によって熱平衡から切り離された状態 コントロール系の特定した以外の挙動 = 切り離されて実現していない「影」の部分 コントロール系が壊れた = 壁に穴が空いて、熱平衡状態に移行した こう考えてみると、コントロール系とは何なのかが分かってくるであろう。